マスコミはちょっと無責任だ!

割引

本屋で新しい葬儀関連の本を見つけたので購入して読んでみました。
メディアに注目されている新しいかたちの葬儀というものがたくさん載っていました。
「お葬式の価格破壊!!」とか「新しい葬儀ビジネス」といった言葉が文面を飾っています。

本を売りたい、視聴率を取りたい。ビジネスですから、その気持ちは理解できます。
しかし、僕からするとひどく誇張された葬儀社の表現を、誇張されたそのままに鵜呑みしているとしか思えないのです。
例えば、以前東京23区内でたくさんのチラシが撒かれたことがありました。それは大手の葬儀社のものだったのですが、「価格が透明」と謳い、消費者にとってわかりやすい金額設定であることを主張しています。ところが、葬儀屋が見ればわかる実際必要なものの金額は提示されていなかったり、基本の見積もりにまったく選択の幅も余地もなく、後から追加すること、オプションをつけることを前提とした価格設定であったりしたのです。

佐藤葬祭、つまり僕の守るべきスタイルは、徹底した「正直さ」というものです。ですから、そのように嘘で塗り固めたようなチラシを見るだけでひどくいやな気持ちにさせられます。

テレビ時々特集されている「新たなる葬儀ビジネス」といった内容もほぼ同じようなものです。記者の方というのはネタを誇張して面白可笑しく表現するのがお仕事で、葬儀業界についてはほぼ素人である点を考えると仕方ないとは思うのですが、それにしても一般の方々に葬儀というもの説明し評論するには、あまりにも知識不足だと思います。

実際にその葬儀社で葬儀をあげたらどうなのだろうか?
ビジネスとして業績は伸びているとしても、本当に顧客は満足しているのだろうか?
競争力をつけるためだけの「変わった葬儀」を業者ベースで、消費者の満足度など無視してやっているだけではないのだろうか?

そんな疑問が沸いてきます。

残念ながら、葬儀において大幅なコストダウンは23区内ではまず不可能です。地方においてもあまり変らないのではないかと思います。意味なく「価格破壊!」という言葉を繰り返しても意味はありません。価格はあくまでも品質の対価であり、一定の価値があるものにはお金がかかるのは当然で、価格破壊だけを目指すのは価値を下げるということにしかならないのです。可能な限りで価格を下げるにも、きちんとしたことを丁寧に積み重ねていくしかありません。

嘘のない、正確に作り上げた見積りを提示すれば、きちんとした葬儀屋が負けることはまずありません。というか、いろいろな葬儀屋さんで見積もりを作って貰ったとして、その葬儀屋がみなさん良心的な葬儀屋さんであったのなら、たぶん出てくる金額にあまり差は生まれないでしょう。マスコミからしたらつまらないことになってしまうかもしれませんが、それが実際です。その現実を多くの方に知って貰えると大変ありがたいと思います。特に、町の小さな葬儀屋としては。

それから、あたかも新しい葬儀ビジネスの前途はとにかく明るいといった表現をされますが、実際はもっと厳しいものです。自分達の利益のために商売をする葬儀屋は、お客さんにとって不利益なことを説明しません。それはさまざまなトラブルの原因になります。お客さんに対して葬儀屋はメリットやデメリットをきちんと説明するべきなのです。なぜなら一般の方にとって「葬儀」は、圧倒的によくわからないもの、未知の世界のものだからです。

少しでもマスコミの方々に葬儀業界の実際を知っていただけたら僕は嬉しいです。